【名言・考察】THE BLUE HEARTSの名言

【名言・考察】THE BLUE HEARTSの名言

『青空』より抜粋

「生まれた所や皮膚や目の色でいったいこの僕の何がわかるというのだろう」。THE BLUE HEARTS『青空』の歌詞だ。この言葉を本論の読者は古臭いと思うだろうか。確かにこの曲が発表されたのは1989年で今から30年以上前だ。しかし私自身の考えは、この内容は今でも多くの人に刺さると思っている。そのための視点を本論では提供したい

このことについて就職活動を例に挙げよう。「これからは多様性の時代。企業に頼らず起業すべし。就職活動はオワコンであり「思考停止」の一種」というような言葉。これ自体は私が今考えたものだが、類似した主張を見たことがあるはずだ。しかし朝井リョウの『何者』という就活をテーマにした小説には次の一節がある。「たくさんの人間が同じスーツを着て、同じようなことを訊かれ、同じようなことを喋る。確かにそれは個々の意思のない大きな流れに見えるかもしれない。だけどそれは、「就職活動をする」という決断をした人たちひとりひとりの集まりなのだ」。「思考停止」ということの「思考停止」。多様性を認めることは画一的であることを否定することではないはずだ。少なくとも「決断をした人たちひとりひとり」を否定することなど、誰ができようか。「人と同じことをしている」だけで「この僕の何がわかるというのだろう」。これが『青空』の歌詞が今でも刺さると思う理由だ。

さて『青空』で好きな部分を最後に紹介しよう。「誠実さのかけらもなく笑っている奴がいるよ 隠しているその手を見せてみろよ」。これである。この愚直さである。もはや語るまでもないだろう。聞いたことがない方がいればぜひ試聴してほしい。この曲を聞かせてやりたい奴を思い浮かべることができたのなら「語るまでもない」という部分もわかってくれると思うのだ。