投稿者: k-sato

  • 小説『オーバーヒート』「不安」と「終わり」の充溢と生

    哲学者・千葉雅也『オーバーヒート』を読んだ。物語は、京都の大学で哲学を教えている「僕」の日々を縦軸とし年下の男性の恋人との関係の揺らぎを横糸とした恋愛小説となっている。この小説の魅力をまず伝えるならば一つは「読んでいて気持ちのいい小説」ということ、そしてもう一つが「明晰であるが故の寂しさが丁寧に描かれている」のが率直な感想だ。 まず前者について。この小説は「

  • 【名言・考察】アニメ『PSYCHO-PASS サイコパス』槙島聖護の言葉

    「友達だから話題を選んでしまう」という言葉を違和感なく受け入れることができるのであれば次の言葉にも共感できるかもしれない。 「もう誰も他人を必要としない。どんな才能もスペアが見つかる。どんな関係でも取り換えがきく。そんな世界に飽きていた」 。 アニメ『PSYCHO-PASS サイコパス』のキャラクター・槙島聖護の言葉だ。 アニメ『PSYCHO-PASS サイ

  • 青春小説の原点にして頂点『ライ麦畑でつかまえて』はなぜ人気か

    人生のある期間でしか読めない本というものがあるとすれば『ライ麦畑で捕まえて』はその一冊になると思う。そして、この「ある期間でしか読めない」というのが『ライ麦畑でつかまえて』を名作たらしめていると私は思う。本論では『ライ麦畑でつかまえて』の人気の秘密を考察していきたいと思う。ただ、先んじて結論をいえば、その秘密は十代のすべての感情が詰まっていることが人気の秘密

  • 【解説試論】 『機動戦士ガンダムSEED FREEDOM』は何を残したか –「顎」と「運命」と「愚かさ」の肯定について–

    ※ネタバレあり 先日『機動戦士ガンダムSEED FREEDOM』をみてきた。アニメ放送から20年ほど経過してからの映画化ということで話題になっている。鑑賞後の印象は「お祭り」と「同窓会」。「あのときの、あの動きが!」「あのキャラが!」というシーンが多く、古参のファンであれば満足できる作品になっている。逆にいえば一見すると単なる「お祭り」という印象しか残りかね

  • 【名言・考察】真賀田 四季の言葉

    人が「考える」のは「答え」を得たいからだ。しかし真賀田四季は別の個所で「完全なる答えなどない」と言う。それにも関わらず、彼女は「問い続けなさい」という。だが「完全なる答えがない」ならば「考える」ことなど無意味だ。 そう思う私たちに「考える」ことの価値を教えてくれる 。このことを少しだけ詳しくみていこう。 さて、改めて紹介すると先の言葉はミステリー作家・森博嗣

  • 【名言・考察】THE BLUE HEARTSの名言

    「生まれた所や皮膚や目の色でいったいこの僕の何がわかるというのだろう」。THE BLUE HEARTS『青空』の歌詞だ。この言葉を本論の読者は古臭いと思うだろうか。確かにこの曲が発表されたのは1989年で今から30年以上前だ。 しかし私自身の考えは、この内容は今でも多くの人に刺さると思っている。そのための視点を本論では提供したい 。 このことについて就職活動

  • 【要約・考察】『実況中継・社会学』

    これから紹介する『実況中継・社会学』という本は冒頭で次のように書いている。「それがいまやテレビで「時事批評」する人たちだれもかれもが自称・他称にかかわらず社会学者と呼ばれ(…)ググってみたところ、経歴的にも議論の構成に関しても社会学とはまったく縁のないかたであることがわかり、びっくりしたことがありました」。このように「社会学者」の乱発があるせいだろうか。一部

  • 【コラム】エッセイから読み解くフリーアナウンサー・住吉美紀の世界

    「共感の女王」と呼ばれているフリーアナウンサーをご存じだろうか。平日の九時から十一時に放送されているTOKYO FM『Blue Ocean』で司会を務めている住吉美紀さんが、その人である。ラジオでは老若男女問わず、多くの人が寄せるメッセージに共感を交えながら番組が進行していく様子から、そのように呼ばれている。丁寧で真摯でありつつもカジュアルな雰囲気の当番組を

  • 【要約・考察】『訂正する力』(著:東浩紀)からの言葉

    自己啓発より穏やかで、哲学書よりも柔らかい。本書はそんな本である。それは人間の曖昧さと情けなさを許してくれるということだ。「ミス」に厳しい現代、この本は 私たちの優柔不断な心のお守りのようなものだ と思った。 ところで、私たちは自分の人生をどう評価できるだろうか。夢を抱いて、そこに向けて火の玉のように突き進む。そのような「完璧」とも「理想的」ともいえる人生を

  • 【要約・考察】東大卒プロゲーマー・ときどの言葉

    プロゲーマー・ときどの著書『東大卒プロゲーマー 論理は結局、情熱にかなわない』のなかに「情熱は、理論を凌駕する」という言葉がある。著書はプロゲーマー・ときどが「プロゲーマー」になるまでの人生を綴ったものだが、先の一言に説得力があるのは 「東大卒」という肩書のためだろうか。いや、そうではない、と私は思う 。 ゲームセンターのなかでの上下関係や浪人時代、大学院入