投稿者: k-sato

  • 【要約・考察】新書『〈私〉を取り戻す哲学』著:岩内 章太郎

    SNSが普及した現代において〈私〉というものへのイメージは簡単に操作できる一方で、そのことが「途轍もない疲労感を生んでもいる」と本書は主張しています。それはSNSなどにより「みんなに追いていかれたくない、という漠然とした同調意識に支配されて、自分が何を欲しているのかを深く考えなくなっているから」だと。この結果として「情報に意味を与える〈私〉がいない」言い換え

  • 経済学者・熊沢誠の言葉

    「心理的安全性」「ウィルビーイング」という言葉が経営や職場の環境改善という文脈で登場するようになった。その背景には、 労働環境の悪化や止まらぬ能力開発・自己啓発による働き手の「燃え尽き」などがあることは容易に想像ができる 。このような現状に対する分析、そして本文のサムネイルで紹介した「仕事・なかま関係を大切にすることを労働者の「心の自治」」というようなアイデ

  • 【歌詞解説】音楽『寄り酔い / 和ぬか』

    片思いをしている人にぜひ聞いてほしい一曲。 どんな人でも片思いをしているときは、自分のことを好きになってもらうために少しだけズルいことを考えてしまうものだと思います。そんなズルいことを考えた自分が少し嫌いになったり、あるいは自分が自分じゃないような不思議な感覚を覚えたり。そして、相手の言葉やしぐさにずっと頭を悩ませ「我ながらバカだなあ」なんて急に冷静になった

  • 【歌詞考察】あいみょん『裸の心』分裂する歌詞の結末を考える

    私たちが恋愛の曲に求めるのは、こういう歌詞だったのかもしれない。そんなことを思わせてくれるのがシンガーソングライター・あいみょんの『裸の心』だ。ただし、この曲には ハッピーエンドとバットエンド、どちらにも解釈できる仕掛けが施されている 。本論では、この曲の人気の理由と、バッドエンドとハッピーエンドの2つの結末へ至るための解釈を歌詞に沿って紹介していきたい。

  • 【あらすじ・考察】『僕の心のヤバイやつ』はなぜ「尊い」か

    これほどまでに キャラクターにとっての「嬉しい」に「よくやった!」「頑張ったな!」と励ましたくなるラブコメを私は知らない 。そのラブコメとは現在アニメ二期が放送されている漫画『僕の心のヤバイやつ』(以下『僕ヤバ』)だ。この魅力をぜひ紹介させていただきたい。とはいえ漫然とした「紹介」ではつまらないので、ここでは『僕ヤバ』の作者が丁寧に書くことを意識したという要

  • 【あらすじ・感想】『白光』ミステリー小説の大家が描く人の心の獰猛な闇

    ミステリー小説といえば何をイメージするだろう。謎の建築物、怪しげな住人、驚天動地のトリック。はたまた「読者への挑戦状」? 本論で紹介する連城三紀彦『白光』にはいずれの要素も無いが、それでも傑作ミステリーの一冊だと断言できる。奇天烈ではないが、それでも際立つ非凡さ。 このような表現が、小説で可能だったのか 。そう思わずにはいられない。ここでは『白光』のあらすじ

  • 【要約・考察】『現代社会はどこに向かうか』から「幸せ」を考える。

    アニメ映画『君たちはどう生きるか』がアカデミー賞アニメ映画賞を受賞した。しかし、考えてみると日本を代表する映画監督が現代に放った作品のタイトルが「どう生きるか」というのは意味深な出来事でもある。つい先日、日本のGDPがドイツに抜かれたということも騒ぎになったが、いよいよもって「経済」という明快な「幸せ」の基準が揺らぎ、「幸せ」を再考すべきというサインであり「

  • 【要約・考察】『人間はどこまで家畜か』現代への「疑念」を提示する渾身の一冊

    世界や社会に対する個人の姿勢を分類するのであれば「肯定」「否定」の間に「静観」「懐疑」があると思う。 そして本書は「懐疑」の本である 。本書は「自己家畜化」というキーワードを武器に「ADHD」や「社交不安症」の増加の謎にメスを入れ、その背景にある「生物」としての人間、そして社会構造の変化を分析する。もし今、本論の読者が「健康志向」の風潮や「コスパの良い人生」

  • 【解説試論】『葬送のフリーレン』は何を描くか –ネガティブ・ケイパビリティの物語について–

    アニメ『葬送のフリーレン』が人気アニメだということに異論がある人は少ないと思う。タイトルにある「フリーレン」というのは舞台となっている世界の魔王を倒したパーティーのメンバーの名前だ。女性の魔法使いのフリーレンは人間より寿命が長いエルフという種類のキャラクターで、当然のことながら他のパーティーよりも長生きすることになる。魔王討伐後の平和な世界で魔法集めをしてい

  • 【あらすじ・考察】『かぐや様は告らせたい』世界で一番「愚直」な恋

    「頭悪くなる位人を好きになれるのは幸せな事だよ」という名セリフ・名シーンがあるのは漫画家・赤坂アカによるラブコメ漫画『かぐや様は告らせたい〜天才たちの恋愛頭脳戦〜』である。ここでは本作の簡単なあらすじと、これがなぜ実写映画化、アニメ三期とテレビスペシャル版まで至るほどヒットになったのかを考察していきたい。 舞台は名門とされる高校・秀知院学園。そこの生徒会長で