投稿者: k-sato
【要約・考察】『世界は経営でできている』人生の経営者になるための必読本
告白すれば「経営学」について私は良いイメージがなかった。冷徹な合理主義、搾取のノウハウの蓄積という印象が先行しているからだ。しかし本書は違う。「本来の経営は失われ、その代わりに、他者を出し抜き、だまし、利用し、搾取する、刹那的で、利己主義の、俗悪な何かが世に蔓延っている」と宣言する。この本が語る「経営」とは他者と自分を同時に幸せにするという「価値創造」だ。し
【名言・考察】宮沢賢治『永訣の朝』の一文
宮沢賢治の名前を知らない人はいないだろう。大正から昭和の初めに活躍した童話作家で、その作品は国語の教科書にも載っている。とりわけ「雨ニモマケズ」は誰もが一度は目にしたことがあると思う。一方賢治は作家以外にも「世直し」に奔走し貧しい農民の手助けもしていた。だがこのような取り組みは、彼の最愛の妹・トシの死後のことだ。 「ありがとう、私のけなげな妹よ 私も真っすぐ
【名言・考察】『池袋ウエストゲートパーク』キングの名言
2000年に放送されたドラマ『池袋ウエストゲートパーク』は今でも面白い。紹介したのは、そのドラマで登場する窪塚洋介が演じる「キング」という役のセリフだ。『池袋ウエストゲートパーク』は、主人公・マコトが池袋で発生する事件を解決するために奔走するというものだが、 ただの単なるミステリーではない 。カラーギャングや若者文化を存分に盛り込んだスピード感あふれる展開と
【名言・考察】『攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX』の名言
「これからは~の時代」という文言を見かける回数は多くなったと思う。要するに「社会は変わる/を変えたい」という欲望の表れだ。でも大人たちは「現実」というやつから「変われないこと」を教わりすぎた。この「僕は僕だけがたまたま知りえた情報の確認と伝播を自身の使命と錯覚し、奔走した」というセリフはどうだろうか。 「錯覚し、奔走した」という部分に大人になってしまったこと
【コラム】ド文系が結城浩の『数学ガール』を読んでみた
「数学が出来たらカッコイイな」と思ったことはないだろうか。そんな衝動を持ったまま手に取ったのが結城浩の『数学ガール』という本だ。とはいえ、タイトルのとおりド文系である自分がきちんと読めるかは自信がなかったし、読了した今でも十全に理解できるとは思っていない。ただ、それでも、楽しい読書体験だったということは、ぜひ共有したいのだ。これこそが本文の結論だけれど、 そ
【要約・感想】『非モテの品格』男らしさの呪縛を解く優しさが宿る魂の一冊
言葉にならない不安や絶望、それらを誰かに伝えるため、人文の世界は存在する。杉田俊介『非モテの品格』という本は、そんな試みの本だと思う。本書は三章で構成されており、一章は男にとっての「弱さ」という問題提起を行う。第二章は男にとっての「弱さ」という角度から恋愛や性愛の問題に取り掛かる。そこでは、この問題を「個人の運不運や自助努力の問題としてのみ考えずに、社会や制
【要約・感想】『メンタル脳』「やりすぎ」な脳との幸福な付き合い方
不安という感情や記憶、あるいはそもそも心というものが、なんのために存在するのか。そんな考えたことないような疑問に「脳」の仕組みという視点から答え、 それを踏まえた上で良質なライフハックを私たちに提供してくれるのがアンデシュ・ハンセン『メンタル脳』だ 。十代向けに書かれたという本書の構成は実にシンプルであり、内容としても二十代、三十代、あるいはそれ以上の年代に
【歌詞考察】『月曜日』(amazarashi)憂鬱な月曜日を生き延びたい僕らのための歌
月曜日が憂鬱なのは、僕らが「大人」だからかもしれない。 そんな月曜日を生き延びるにはamazarashiの『月曜日』という歌が効く 。学校にも会社にも行きたくない月曜日のために、この曲の魅力を歌詞に沿って紹介したい。 「体育倉庫のカビたウレタンの匂い」から始まる本曲は、リスナーを学生だった頃に引き戻す。ここでは匂いを感じている学生を仮に「私」としよう。「私」
【感想・考察】『キドナプキディング』戯言シリーズ最新作!新青春エンタの頂点の果て!
著者の手元にある本書の帯文には「首を洗って待ってたかい?」とある。一人のファンとしてこう答えたい。「首を長くして待ってたよ」。西尾維新のデビュー作『クビキリサイクル』から始まる「戯言シリーズ」のその後を描くシリーズ最新作『キドナプキディング』。その紹介と考察を本論では行う。『キドナプキディング』の主人公は「戯言シリーズ」の主人公・戯言遣いこと「いーちゃん」と
【要約・考察】『現代思想入門』人生のリアリティを味わう哲学
優れた入門書は、優れた地図でもある 。千葉雅也の『現代思想入門』はそのような優れた地図になる一冊だ。しかし、この地図には謎がある。この地図は一体、どういう目的で書かれたのか。仮に「現代思想を知りたいから」という読者側の答えが明白だとしても、「入門書」というジャンル自体が膨大な数であることから、この本の意義は単なる「入門」以外にもある気がしてならない。素朴に考