カテゴリー: 小説
【あらすじ・感想】『世界で一番透きとおった物語』1000人の感想総まとめ! 感動の声と賛否を徹底検証
0. あらすじ--「遺稿」が導く父の素顔 母を亡くした主人公・藤阪橙真は、ひょんなことから一度も会ったことのない推理作家の父・宮内彰吾の遺稿を探すことになってしまった。 知り合いの文芸編集者・霧子と協力して父の業界関係者や愛人たちを調査し、次第に父の複雑な人物像を知っていく。 しかし、この過程で遺稿を狙う何者かによる妨害が主人公の周りで起こり始め――。 1.
【あらすじ・感想】 呉勝浩『爆弾』―読者1000人に聞いてみたスリリングな展開とキャラクター描写を徹底分析
『爆弾』に対する読者の感想 呉勝浩氏の小説『爆弾』は、スリリングな展開と意外な結末が魅力のミステリー作品として、多くの読者に楽しまれている。本作の幕開けは衝撃的なシーンからだ。自称スズキタゴサクという男が警察に「十時に爆発があります」と予告し、実際に秋葉原で爆発が起こるのだ。読者は、この予測不能なストーリーに引き込まれ、最後まで飽きることなく読み進められると
【あらすじ・考察】『ハサミ男』平成の産声としての「ハサミ男」
「平成」という時代を1文字で表すとすれば「狂」ではないだろうか。震災や少年少女による殺人、経済の不安定化によるライフステージの崩壊と狂騒。文化も制度も人々の精神も「狂」の文字がチラついた。そのような時代の空気に対して最も鋭敏に反応したのがミステリーであり、殊能将之『ハサミ男』だろう。1999年、第13回メフィスト賞を受賞したこの作品は、 「平成」ミステリーの
【あらすじと感想】『#真相をお話しします』(結城 真一郎)読みやすさと驚きを両立させた傑作ミステリー短編集
謎の館、脱出できない孤島など、周到な伏線や緻密なロジックを積み上げるクラシックなミステリーも面白いけれど、時代を反映させ、問題提起をなすミステリーも同様に強烈に人を惹きつける。本文では結城慎一郎の短編集『#真相をお話しします』を後者と位置づけ、いくつかをピックアップし、その魅力を紹介していきたい。 映画化もされるこの本は、そういった時事的なギミックを好む人や
【あらすじと感想】本屋大賞受賞作『成瀬は天下を取りにいく』成瀬はなぜ愛されるのか
「島崎、わたしはこの夏を西武に捧げようと思う」。この一文から始まるのは二〇二四年本屋大賞受賞作『成瀬は天下を取りにいく』だ。本論では、この小説の簡単なあらすじを紹介し、感想を交えながらなぜこの作品、もとい、主人公である「成瀬」が読者を惹きつけるのか、その理由を「地方」という点から考えていきたい。 あらすじと魅力 本作は全部で六章の構成となっており、それぞれ異
小説『君が手にするはずだった黄金について』 著:小川 哲
「俺をみてくれ!」と言いたげな人が多くいることを私たちはSNSで知っている。そして、 そんな人々の滑稽ともいえる行動に笑いそうになる経験があるのなら、私は本書を勧めたい 。 主人公は本書の作者を彷彿とさせるような人物。冒頭では大学生だった彼は物語の進行とともに年を重ね、小説家となり、様々な人と出会う。作家志望の女性、資産運用のプロとして有名になった旧友、著名
【考察】小説『ハーモニー』著:伊藤 計劃
今の世の中に違和感を覚えている人、そしてSFというジャンルの凄みを味わいたい人に強く勧めたいです。本作の舞台は21世紀後半の世界。そこは医療の発達により病気だけではなく恐怖や不安が排除された社会でした。しかし その中で起きた全人類を巻き込んだ大混乱のなかで、主人公はかつて死んだはずの友人の面影を追うことになります。 「永遠と人々が思っているものに、不意打ちを
小説『オーバーヒート』「不安」と「終わり」の充溢と生
哲学者・千葉雅也『オーバーヒート』を読んだ。物語は、京都の大学で哲学を教えている「僕」の日々を縦軸とし年下の男性の恋人との関係の揺らぎを横糸とした恋愛小説となっている。この小説の魅力をまず伝えるならば一つは「読んでいて気持ちのいい小説」ということ、そしてもう一つが「明晰であるが故の寂しさが丁寧に描かれている」のが率直な感想だ。 まず前者について。この小説は「
青春小説の原点にして頂点『ライ麦畑でつかまえて』はなぜ人気か
人生のある期間でしか読めない本というものがあるとすれば『ライ麦畑で捕まえて』はその一冊になると思う。そして、この「ある期間でしか読めない」というのが『ライ麦畑でつかまえて』を名作たらしめていると私は思う。本論では『ライ麦畑でつかまえて』の人気の秘密を考察していきたいと思う。ただ、先んじて結論をいえば、その秘密は十代のすべての感情が詰まっていることが人気の秘密
【あらすじ・感想】『白光』ミステリー小説の大家が描く人の心の獰猛な闇
ミステリー小説といえば何をイメージするだろう。謎の建築物、怪しげな住人、驚天動地のトリック。はたまた「読者への挑戦状」? 本論で紹介する連城三紀彦『白光』にはいずれの要素も無いが、それでも傑作ミステリーの一冊だと断言できる。奇天烈ではないが、それでも際立つ非凡さ。 このような表現が、小説で可能だったのか 。そう思わずにはいられない。ここでは『白光』のあらすじ