「考察」・「要約」・「名言紹介」

  • 【マンガ考察】『NANA』が映した古い女性像

    導入|なぜ、彼女たちは「戦う」のをやめたのか? 2000年代前半、矢沢あいの『NANA』は爆発的な人気を博し、少女マンガの地平を一変させたかのように見えた。性愛、妊娠、夢と挫折──それまでのファンタジックな恋愛譚とは異なり、現実に即した「痛み」のなかで生きる若者たちの姿は、同時代の読者の共感を強く呼び起こした。だが、その表層の「リアルさ」とは裏腹に、この物語

  • 【名セリフ考察】鬼滅の刃:なぜ炭治郎は無惨のあの台詞に激怒したのか

    『鬼滅の刃』。この作品を改めて紹介することはあまり意味がないと思う。アニメ化・映画化にもなり『無限列車編』の国内における興行収入は400億円以上にもなった。一般的にアニメ映画では10億に到達すればヒット作と言われているなかで、前述の数字が驚異的なものであることは疑いようがないだろう。現在でも劇場アニメ『劇場版「鬼滅の刃」無限城編』が三部作で制作されることが発

  • 【名言・考察】新海誠監督作品『秒速5センチメートル』より

    仕事を辞めたいなと思ったとき、どこからともなく湧き上がる言葉がある。「そしてある朝 かつてあれほどまでに真剣で切実だった思いが綺麗に失われていることに僕は気づき もう限界だと知ったとき会社を辞めた」。『君の名は』『天気の子』『すずめの戸締り』で有名な新海誠の作品『秒速5センチメートル』の主人公・遠野貴樹の独白である。 仕事に忙殺されていることや、社会人であれ

  • 【名言・考察】アニメ『PSYCHO-PASS サイコパス』槙島聖護の言葉

    「友達だから話題を選んでしまう」という言葉を違和感なく受け入れることができるのであれば次の言葉にも共感できるかもしれない。 「もう誰も他人を必要としない。どんな才能もスペアが見つかる。どんな関係でも取り換えがきく。そんな世界に飽きていた」 。 アニメ『PSYCHO-PASS サイコパス』のキャラクター・槙島聖護の言葉だ。 アニメ『PSYCHO-PASS サイ

  • 【解説試論】 『機動戦士ガンダムSEED FREEDOM』は何を残したか –「顎」と「運命」と「愚かさ」の肯定について–

    ※ネタバレあり 先日『機動戦士ガンダムSEED FREEDOM』をみてきた。アニメ放送から20年ほど経過してからの映画化ということで話題になっている。鑑賞後の印象は「お祭り」と「同窓会」。「あのときの、あの動きが!」「あのキャラが!」というシーンが多く、古参のファンであれば満足できる作品になっている。逆にいえば一見すると単なる「お祭り」という印象しか残りかね

  • 【あらすじ・考察】『僕の心のヤバイやつ』はなぜ「尊い」か

    これほどまでに キャラクターにとっての「嬉しい」に「よくやった!」「頑張ったな!」と励ましたくなるラブコメを私は知らない 。そのラブコメとは現在アニメ二期が放送されている漫画『僕の心のヤバイやつ』(以下『僕ヤバ』)だ。この魅力をぜひ紹介させていただきたい。とはいえ漫然とした「紹介」ではつまらないので、ここでは『僕ヤバ』の作者が丁寧に書くことを意識したという要

  • 【解説試論】『葬送のフリーレン』は何を描くか –ネガティブ・ケイパビリティの物語について–

    アニメ『葬送のフリーレン』が人気アニメだということに異論がある人は少ないと思う。タイトルにある「フリーレン」というのは舞台となっている世界の魔王を倒したパーティーのメンバーの名前だ。女性の魔法使いのフリーレンは人間より寿命が長いエルフという種類のキャラクターで、当然のことながら他のパーティーよりも長生きすることになる。魔王討伐後の平和な世界で魔法集めをしてい

  • 【あらすじ・考察】『かぐや様は告らせたい』世界で一番「愚直」な恋

    「頭悪くなる位人を好きになれるのは幸せな事だよ」という名セリフ・名シーンがあるのは漫画家・赤坂アカによるラブコメ漫画『かぐや様は告らせたい〜天才たちの恋愛頭脳戦〜』である。ここでは本作の簡単なあらすじと、これがなぜ実写映画化、アニメ三期とテレビスペシャル版まで至るほどヒットになったのかを考察していきたい。 舞台は名門とされる高校・秀知院学園。そこの生徒会長で

  • 【名言・考察】『攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX』の名言

    「これからは~の時代」という文言を見かける回数は多くなったと思う。要するに「社会は変わる/を変えたい」という欲望の表れだ。でも大人たちは「現実」というやつから「変われないこと」を教わりすぎた。この「僕は僕だけがたまたま知りえた情報の確認と伝播を自身の使命と錯覚し、奔走した」というセリフはどうだろうか。 「錯覚し、奔走した」という部分に大人になってしまったこと

  • 【要約・考察】『リバーズ・エッヂ』を「教訓」として読む

    振り返ってみれば、この時期から、人々の価値観とか社会の仕組みとかが少しずつ狂い始めていったのかもしれない。岡崎京子の漫画『リバーズ・エッジ』はそんなことを思わせてくれる。主人公の女子高生・若草ハルナが元彼氏の観音崎にいじめられている山田を助けたことをきっかけに、河原に放置された死体を偶然見つけ、その秘密を共有するというのが物語の大枠だ。 94年に刊行された本