カテゴリー: 学術・評論

  • 【要約・考察】『日本の思想』「日本」という国を幻惑する「思想」とは何か

    あえて挑発的なことを言えば「日本」という国、あるいは社会を知りたければ、まずはこの一冊からだろう。それが名著にして日本論の古典、政治学者・丸山真男の著書『日本の思想』である。「日本の思想」「近代日本の思想と文学」「思想のあり方について」「「である」ことと「する」こと」の四章で構成されている本書を、簡潔に要約することは筆者の手に余ることは正直に告白しなければな

  • 【要約・考察】『テクノ・リバタリアン』新時代からの誘惑と挑発

    「革命のような「大きな物語」の幻想がすべて潰えたいま、テクノ・リバタリアニズムが「世界を変える唯一の思想」になった」。こう宣言するのは作家・橘玲の本『テクノ・テクノ・リバタリアン』だ。「テクノ・リバタリアン」とは「自由を重視する功利主義者のうち、きわめて高い論理・数学的能力をもつ者たち」とされている。その代表的な人物を「イーロン・マスク」「ピータ・ティール」

  • 【要約・考察】『ブルシット・ジョブの謎』クソどうでもいい仕事の謎と罠

    「仕事のための仕事」「会議のための事前打ち合わせ」「ブレストという名の愚痴大会」。これら亡霊のような仕事があなたの周りにもないだろうか。内心では「どうでもいい」「なんの意味がある」と誰もが思っているはずなのに、どこからか発生する謎の仕事。この答えを明かしてくれるのが講談社現代新書から発売されている『ブルシット・ジョブの謎』という本だ。本書は「ブルシット・ジョ

  • 【要約・考察】『生きづらい明治社会』「生きづらさ」の理由は性格か、社会構造か。

    「生きづらさ」を覚える原因というのは往々にして当人の性格によるものだと思われがちだ。ましてや便利な言葉が増える現代において、「生きづらさ」ものに心理的な病名が付きがちだというのは多くの人が感じているところだろう。だが「生きづらさ」=本人の気質という図式は真実なのだろうか。 僕らを取り巻く仕事や社会規範、経済だって「生きづらさ」を生んでいるのではないだろうか

  • 【要約・考察】『友だち幻想』「友だち」でいることが辛い人たちへの励ましの一冊

    菅野仁の『友だち幻想』を十代の頃に読んでいたら、きっと泣いていたと思う。「「友だち」と一緒にいるのに辛いなんて、きっと自分はおかしいんだ」と思っていたから、 この本に宿る「大丈夫、変じゃないよ」というメッセージに励まれたはずだ 。本論では、そんな素敵な本『友だち幻想』の要約と考察を述べていきたい。 『友だち幻想』の要約と「励まし」 本書の構成は大きく四つに分

  • 【要約・考察】『社会学入門』ようこそ、「関係としての人間の学」の社会学へ!

    「自分にとってほんとうに大切である問題、その問題と格闘するために全青春をかけても悔いないと思える問題を手放すことなく、どこまでも追及しつづけることの中に、社会学を学ぶ、社会学を生きるということの<至福>はあります」。これは社会学者・見田宗介『社会学入門』の冒頭の文章だ。本書は「入門」であるものの、「社会学」の入門ではなく、前述した「社会学を生きること」、「ど

  • 【要約・考察】「客観的」は本当に良いことなのか?

    自分の悩みを相談したとき「そんなの、みんな同じだよ」という回答にモヤモヤを抱いてしまうのは私だけだろうか。適当に頷くものの、内心では「いや「みんな」なんてどうでもいい。苦しいのは、この「私」なんだ」と毒づいてしまう。この「みんな同じ」という回答は「客観的にみて、君の悩みは「悩み」とは言えない」と言われている気分になるのだ。だが昨今では「客観」が万能の道具のよ

  • 【要約・感想】國分功一郎『はじめてのスピノザ』スピノザが問いかける自由の本質とは

    國分功一郎の『はじめてのスピノザ』は、17世紀の哲学者スピノザの思想を、現代の重要な視点からわかりやすく解説している。閉塞感が漂う現代において、私たちは一般的に持つ「引き受け」や「自由」の概念を再構築し、別の世界の在り様を思考すべきなのではないだろうか。本書はスピノザの哲学を通して、そのための視座を与えてくれる。 要約 第一章:「組み合わせとしての善悪」 ま

  • 『意識と自己』(講談社学術文庫/アントニオ・ダマシオ)

    人々が抱いている世界観を一新する本が存在する 。例えば進化生物学者リチャード・ドーキンス『利己的な遺伝子』やマーヴィン・ミンスキー『心の社会』などがそうだろう。そしてこれから紹介するアントニオ・ダマシオ『意識と自己』もそのようなうちの一冊に並べられるべきだと私は思う。 ところで私たちは「感情」や「意識」と言ったものについて、どのようなイメージを抱いているだろ

  • 【解説試論】『何もしない』 –「なにもしない」をするために本当に必要なこと–

    何もしない休日を過ごすと罪悪感を抱いてしまう。なんとなく眺めるSNSには、資格勉強に励んだり、「丁寧な暮らし」を思わせる写真がアップロードされている。そういうのを目にすると、何もしない自分がひどく恥ずかしくなるのだ。日々の生活のなかで「何もしない時間を作るぞ」「今日という一日だけは何もしないぞ」と思っても、その選択がそもそも間違いだったような気がしてくる。だ