投稿者: k-sato
【要約・考察】『私とは何か「個人」から「分人」へ』 「私」の生き方の処方箋
「本当の自分」を探したことはあるだろうか。思春期の専売特許と思われていたが、今では「大人」も「本当の自分」を探しているはずだ。適切なキャリアや自己啓発書を読むとき、新しい職場を探すとき、そこには「本当の自分」が暗に想定されている。小説家・平野啓一郎の本『私とは何か「個人」から「分人」へ』は、そのような考えに警鐘を鳴らす。本論では『私とは何か』の要約と、 ここ
【要約・考察】『なぜ働いていると本が読めなくなるのか』メタ・ビジネス書のすすめ
なぜ働いていると本が読めなくなるのか。本書を貫く問いは、タイトルのとおりだ。この本は、そんな問いに対して労働史、特にビジネスマンという階級・階層の揺れ動き、そしてベストセラーなどにみる日本人の読書の歴史という二つの柱の関係性から答えを導き出していく。このページでは、その関係性の歴史を要約すると同時に、本書が導き出した答えに対して、別の視点からの解釈を試みたい
【要約・考察】『バカと無知』(橘玲)私たちは「人間」を知るべきである
ネットでは今日も誰かが燃えているのだろう。そう思ってしまうほどに社会問題の噴出と人々の分断は進んでいる。この現状の原因について、政治的右派は愛国心の欠如、政治的左派は資本家や国家権力による作為的なものと考えているのかもしれない。しかし、そうではないと断言するのが『バカと無知』である。上述の原因が克服されたとして、私たちは争い続ける。なぜか。 「人間」そのもの
【要約・書評】『ネット右翼になった父』大切な人に「ネトウヨかも?」と思ったら読むべき本
「実家に帰ったら両親が「ネット右翼」になっていた」というのは、筆者の周囲でも耳にする話だ。ここでいう「ネット右翼」の定義については諸説あるが、今回参考にしている『ネット右翼になった父』では以下のことを特徴としている。 「①中韓(主に韓国に対しての批判 ②社会的弱者に対する無理解(生活保護・シングルマザー・発達障害関連での発言) ③保守論壇の主張に含まれる「伝
【あらすじと感想】本屋大賞受賞作『成瀬は天下を取りにいく』成瀬はなぜ愛されるのか
「島崎、わたしはこの夏を西武に捧げようと思う」。この一文から始まるのは二〇二四年本屋大賞受賞作『成瀬は天下を取りにいく』だ。本論では、この小説の簡単なあらすじを紹介し、感想を交えながらなぜこの作品、もとい、主人公である「成瀬」が読者を惹きつけるのか、その理由を「地方」という点から考えていきたい。 あらすじと魅力 本作は全部で六章の構成となっており、それぞれ異
【要約・書評】『職場を腐らせる人たち』「ハラスメント」への処方箋。社会人、必読の書!
「ハラスメント」が横行する昨今、私たちに必要なことは沢山の事例を知ることと個人単位でできる対処法を学ぶことだ。そんな要望に応えるのが精神科医・片田珠美『職場を腐らせる人たち』である。ここでは本書の要約と、この本の分析の限界点について考察していきたい。 『職場を腐らせる人たち』要約 『職場を腐らせる人たち』は大きく三つに分けることができる。第一章は著者自身の診
【要約・考察】『日本人の法意識』ブラック企業の温床? 日本にとって「法」とは何か。
過労死やパワハラ・セクハラ、様々な偽装などのニュースを見るにつけ、最悪の事態になるまでどうして「法律」は対処できないのかと思わずにはいられない。この問題について、日本人の「法意識」という点から回答を導きだせるのが、法社会学の古典にして名著、川島武宣『日本人の法意識』だ。本論では、この本の簡単な要約と、上述した問題への解答となりうる箇所について紹介したいと思う
【要約・書評】『人新世の「資本論」』2021年新書大賞作。いざ、21世紀のマルクスへ!
手元にある『資本論』の帯文には「危機のたびに甦るこの難解さ、この面白さ!」とある。そして実際に蘇った。それこそが経済思想家の斎藤幸平『人新世の「資本論」』である。本論では二〇二一年の新書大賞を受賞した『人新世の「資本論」』の要約と、本書が抱える困難について、最近発売された橘玲『テクノ・リバタリアン』と照らし合わせながら考察を加える。 『人新世の「資本論」』の
【名言】日本人初プロゲーマー・梅原大吾の言葉
個性が尊重される時代ですが、「人並み」ではないというのはやはり辛いものです。そんな「人並み」ではないことに傷ついた学生の相談に耳を傾けるのは 日本人初のプロゲーマー・梅原大吾 。彼もまたプロゲーマーという地位を確立するまでは、「人並み」ではないことに思い悩んでいたそうです。梅原はまずこう言います。「よくぞ相談してくれました!私に!」 梅原は「俺なんかはモロに
【要約・考察】『日本の思想』「日本」という国を幻惑する「思想」とは何か
あえて挑発的なことを言えば「日本」という国、あるいは社会を知りたければ、まずはこの一冊からだろう。それが名著にして日本論の古典、政治学者・丸山真男の著書『日本の思想』である。「日本の思想」「近代日本の思想と文学」「思想のあり方について」「「である」ことと「する」こと」の四章で構成されている本書を、簡潔に要約することは筆者の手に余ることは正直に告白しなければな